Updated: 2016/12/13
ナノ・機能マテリアル入門 (2016年度)
先端科学技術研究センター (工学部 マテリアル工学科)
近藤高志
tkondo@castle.t.u-tokyo.ac.jp
- 講義の目標
- 「古典的・量子力学的波動の振る舞いについて理解したうえで,ナノテクノロジーとその機能マテリアルへの応用について学ぶ」ことがこの講義の表向きの目標である。このように,大学教養学部では基礎科学の普遍性を強調したアカデミックなアプローチで講義がおこなわれることが多い。そのことが,高校までに学習した物理や化学の知識との間に大きなギャップがあるように錯覚してしまう原因かもしれない。
- この講義では,学問分野の知識を基礎から積み上げてすべてカバーするという姿勢は捨て去り,教養学部で学ぶ基礎科目に登場する主要な基本概念を一点突破的に直感的に理解することを目的とする。その際,高校で学んだ物理や化学の知識とどのように関係しているのか,その関連をできるだけ明示しながら講義を進める。具体的には,教養課程2学期に学習する基礎科目の中で最も重要な以下の基本原理を取り上げ,その直感的な理解を得ることを目指す。
- 波動方程式(振動・波動論)
- シュレーディンガー方程式(構造化学)
- マクスウェル方程式(電磁気学)
できるだけビジュアルな手段を用いてこれらの方程式の意味することを定性的に理解する。また,同時に,典型的な数値例にあたることによって(半)定量的に物理現象を把握できるようにしたい。
さらに,これらの基本原理がどのような形でわれわれの身の周りのテクノロジーに結実しているのか,あるいは,次世代の先端技術にどのような形で活用されようとしているのかを,ナノマテリアルを中心としてわかりやすく解説する。以下のような項目を具体的な題材として予定している。
- 光ファイバー通信
- 電子顕微鏡
- 走査トンネル顕微鏡
- 大容量ハードディスクドライブ
- 半導体レーザ
- 高効率太陽電池
- 半導体量子井戸デバイス
- 超高速トランジスタとULSI
- フォトニック結晶
- メタマテリアル --- 負の屈折率をもつ物質
- 講義の概要と進め方
- 講義は以下のスケジュールでおこなう。
- 09/26(月) イントロダクション
- 10/03(月) 波動方程式(I) ― その意味と解の振る舞い
- 10/17(月) 波動方程式(II) ― フーリエ級数とフーリエ変換
- 10/24(月) 波動方程式(III) ― 分散のある波,光ファイバー通信の最先端
- 10/31(月) シュレーディンガー方程式(I) ― その意味と解の振る舞い
- 11/14(月) シュレーディンガー方程式(II) ― ド・ブローイ波との対応,電子顕微鏡
- 11/21(月) シュレーディンガー方程式(III) ― トンネル効果,走査トンネル顕微鏡,大容量ハードディスク
- 12/05(月) シュレーディンガー方程式(IV) ― 結晶の電子論,半導体量子井戸,高効率太陽電池,先端半導体レーザ
- 12/12(月) マクスウェル方程式(I) ― その意味
- 12/19(月) マクスウェル方程式(II) ― 電場と誘電率,超高速トランジスタ,最先端ULSI
- 12/26(月) マクスウェル方程式(III) ― 電磁波と物質,屈折率とはなにか,光の高度制御
- 講義ノート
- 講義ノートをPDF形式で公開します。講義時に配布したものと原則的に同じものですが,図が一部カラーになっています。またリンクやしおりが利用できます。 -> 講義ノート (1.68 MB)
- レポート課題
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- 第1回レポート(10月24日出題,11月04日提出〆切)
- 第2回レポート(11月21日出題,12月09日提出〆切)
- 第3回レポート(12月12日出題,12月26日講義開始時提出) :課題
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