高品質半導体結晶を作製可能な製膜法を駆使し、フォトニクスへの応用が期待される半導体材料を研究しています。
特に、高品質結晶成長や発電メカニズム解明に向けて、高効率で大面積化可能な薄膜太陽電池材料として有望なハロゲン化金属ペロブスカイト型半導体の物性研究を行っています。
多元共蒸着によるハロゲン化金属ペロブスカイト薄膜・ヘテロ構造薄膜の作製
ハロゲン化金属ペロブスカイト混晶の光物性の研究
ハロゲン化金属ペロブスカイト薄膜を用いた太陽電池の研究
ペロブスカイト強誘電半導体の非線形光学効果や量子力学的光電流の研究
有機強誘電体からのテラヘルツ波発生と強誘電ドメイン可視化の研究
を主なテーマに学生が主体的に研究をしています。
【Ongoing Research Topics...】
ヘテロエピタキシャル膜作製の研究
発光/受光デバイス応⽤が期待されるハロゲン化ペロブスカイト薄膜を単結晶上に蒸着することでヘテロエピタキシャル薄膜を実現する研究を行っています。
T. Matsushita, S. Takashima, Y. Nakamura, and T. Kondo, “Fabrication of CH3NH3PbI3/CH3NH3PbCl3 Heterostructure using Vacuum Evaporation,” 2018 International Conference on Solid State Devices and Materials (SSDM2018), September 9–13, 2018, The University of Tokyo, Tokyo,Japan (PS-6-11, Poster).など
CH3NH3Pb(Br0.93I0.07)3単結晶薄膜のヘテロエピタキシャル膜形成
全無機ペロブスカイト半導体薄膜作製の研究
長時間の安定性や高い環境適合性が期待される全無機ハロゲン化ペロブスカイトCsSnBr
3薄膜の高品質な薄膜を真空共蒸着法で作製する研究を行っています。
Z. Liu, H. Jung, M. Sotome, and T. Kondo, "Substrate temperature dependence of vapor phase deposition of all-inorganic lead-free CsSnBr3 perovskite thin films." Japanese Journal of Applied Physics, 63, 01SP23 (2024). DOI: 10.35848/1347-4065/ad1196
全無機ハロゲン化ペロブスカイトCsSnBr3薄膜の高品質な薄膜を真空共蒸着法で作製する研究
全無機ペロブスカイト混晶薄膜作製の研究
長時間の安定性や高い環境適合性が期待されるZnドープ全無機ハロゲン化ペロブスカイトCsSnBr
3薄膜の高品質な薄膜を真空共蒸着法で作製し、太陽電池に応用する研究を行っています。
H. Jung, Z. Liu, M. Sotome, and T. Kondo, "Vapor phase deposition of lead-free halide perovskite alloy CsSn1-xZnxBr3." Japanese Journal of Applied Physics, 63, 01SP24 (2024). DOI: 10.35848/1347-4065/acfdb3
全無機ハロゲン化ペロブスカイトCsSn1-xZnxBr3の真空蒸着の研究
ペロブスカイト型半導体ダブルヘテロ積層膜の研究
発光デバイスへの応用が期待されるタブルヘテロ膜を実現する研究を行っています。
豊田 祥平, 劉子豪, 楊野牧, 五月女真人, 松下智紀, 近藤高志, "真空共蒸着によるCsPbBr3/CsSnBr3/CsPbBr3ダブルヘテロ構造の作製", The 83th JSAP Spring Meeting, 24p-22C-9 (2024).
T. Matsushita, S. Takashima, Y. Nakamura, and T. Kondo, “Fabrication of CH3NH3PbI3/CH3NH3PbCl3 Heterostructure using Vacuum Evaporation,” 2018 International Conference on Solid State Devices and Materials (SSDM2018), September 9–13, 2018, The University of Tokyo, Tokyo,Japan (PS-6-11, Poster).など
CH3NH3PbCl3/CH3NH3PbI3/CH3NH3PbCl3ダブルヘテロ積層膜
有機強誘電体からのテラヘルツ波発生と強誘電ドメイン可視化の研究
次世代のエレクトロニクス・フォトニクスデバイスへの応用が期待されている有機強誘電体を対象に、フェムト秒レーザー照射によるテラヘルツ波発生とそれを利用した強誘電ドメイン可視化の研究を行っています。
五月女真人, 石田龍馬, 堀内佐智雄, 近藤高志, "テラヘルツ電磁波発生による分子性強誘電体[Hdabco][ReO4]のドメイン構造の三次元可視化", The 84th JSAP Autumn Meeting, 20a-B203-6 (2023).
THz波発生による強誘電ドメイン可視化の原理図。
【ヒストリー】
⾃発的混晶化・光誘起スピノーダル分解の研究
ヨウ素系であるCH
3NH
3PbI
3と臭素系であるCH
3NH
3PbBr
3のハロゲン化鉛ペロブスカイト多結晶薄膜を順次積層すると自発的に混晶化する一方で、
光吸収で2種類の組成に分離する光誘起スピノーダル分解が起こることを見出しました。
Y. Nakamura, N. Shibayama, A. Hori, T. Matsushita, H. Segawa, and T. Kondo, “Crystal systems and lattice parameters of CH3NH3Pb(I1-xBrx)3 determined using single crystals: Validity of Vegard’s law,” Inorg. Chem. 59, 6709–6716 (2020). DOI: 10.1021/acs.inorgchem.9b03421 など.
自発的混晶化と光誘起スピノーダル分解。(左)X線回折パターンとそれぞれの薄膜構造。(右)光誘起スピノーダル分解の温度依存性
GaAs副格子交換エピタキシー結晶成長の研究
大容量光通信や分光などへの応用を念頭に高機能なGaAsを用いた波長変換デバイスについて研究しました。
J. Ota, W. Narita, I. Ohta, T. Matsushita, and T. Kondo: “Fabrication of Periodically-Inverted AlGaAs Waveguides for Quasi-Phase-Matched Wavelength Conversion at 1.55 µm,” Jpn. J. Appl. Phys. 48, 04C110-1–4 (2009). DOI: 10.1143/JJAP.48.04C110.など
化合物半導体結晶の方位を原子レベルで制御する副格子交換エピタキシーで成長されるGaAs薄膜での結晶構造
導波路型擬似位相整合波長変換素子の研究
波長変換素子のための化合物半導体結晶成長技術の研究などに取り組んでいます。化合物半導体は非常に非線形光学定数が大きいため、波長変換材料として優れています。
化合物半導体結晶の方位を原子レベルで制御する副格子交換エピタキシーなどを独自に開発・研究しました。
R. Narasaki, T. Matsushita, and T. Kondo, “Corrugation reduction in periodically inverted GaAs by molecular beam epitaxy growth using arsenic dimers,” Appl. Phys. Express 8, 025601-1–4 (2015). DOI: 10.7567/APEX.8.025601. など
周期分極反転構造を用いた波長変換デバイスの構造